時の流れとは、虚しいものだなァ。

 

絵の具の暗い色だけを混ぜて薄く伸ばしたような空に、そこに浮かぶ月。今にも月は黒い雲に飲み込まれてしまいそうだ。そんな夜空の下、虚無の煙を吸って、吐いた。

 

あと少ししたら、あの月も黒い雲に食べられてしまう。

 

今の年齢、今の生活、今の自分が何も変わらないのであればこのダラっと続く幸せに甘んじていられるのに。

 

大人になるにつれて、考えることは増えて選べる選択も狭くなってゆく。

 

小さい頃は、大人ってもっと自由なものだと思っていた。

 

何にでもなれて、なんでも買えて、自分の好きなことができる。

 

そう思ってた。

 

でも、違うんだね。

 

そんな事しちゃだめだと、注意してくる大人の元は離れたはずなのに、今度は見えない何かが自分を好きにさせてくれない。

 

子供の時よりしがらみだらけだった。

 

現実!現実!現実!未来!未来!未来!

 

そんな黒い雲が自分達を飲み込もうとしてくる。

 

こんな大人の姿、子供達に伝えられるはずがない。大人になれば明るい未来が待っているんだと、騙し続けないといけない。

 

イワンの馬鹿。無知であれば何も考える必要はない。

 

私は現実と、これからの未来と共存するために、過去は置いて来た。

 

虚勢を張って生き続けなければいけない。

 

強くなるってそう言う事だったんだね。

 

 

 

 

 

 

あぁ。未来なんて来なければ、明日は明るいのに。でも未来がなければ明日はないんだ。

 

さよなら。